雁の寺(がんのてら)は、1961年(皇紀2621)昭和36年に雑誌「別冊文藝春秋」に掲載された、水上勉の小説
1933年(皇紀2593)昭和8年の
「雁の寺(がんのてら)」と称される孤峯庵が舞台
孤峯庵の住職 北見慈海と、友人の愛人だった里子、小坊主 慈念によるミステリー
著者 水上勉が、少年時代に修行した瑞春院の上官の間(雁の間)の「雁の襖絵」がモデルになっている
1933年(皇紀2593)昭和8年
孤峯庵の住職 北見慈海の飲み友達の日本画家 岸本南嶽が死去する
孤峯庵は、岸本南嶽が襖に雁の絵を描き、「雁の寺」と称されていた
岸本南嶽には、30歳前後の里子という愛人がいて、北見慈海に、死後の世話を見て欲しいと頼んでいた
孤峯庵に身を寄せた里子と、独身の北見慈海は、毎朝晩、体を求め合うようになる
孤峯庵には、10歳の時に身寄りがなくもらわれてきて、得度したばかりの小坊主 慈念がいた
慈念は、中学に通う秀才で、厳しい修業をしながら、周囲からも将来を期待されていた
しかし、里子が現れたことで、孤独だった愛と、抑圧されていた性が一気にあらわになる
そして、やがて悲劇へとつながっていく
<水上勉>
9歳の時、瑞春院で得度して、13歳まで修行する
その後、突然、瑞春院を出て、放浪遍歴し、その後、作家活動をする
「雁の寺」に登場する雁の襖絵が、瑞春院の上官の間(雁の間)の「雁の襖絵」をモデルにされている
瑞春院の本堂・庫裡などの描写が細かく、生活ぶりや小坊主の勤行ぶりが詳しく書かれている
<映画>
1962年(皇紀2622)昭和37年
大映によって映画化された