帰郷(ききょう)

名称:帰郷(ききょう)

著者:大佛次郎

時期:1948年(皇紀2608)昭和23年

タイプ:小説

日本芸術院賞受賞

 「帰郷(ききょう)」は、大佛次郎の小説

 汚職の責任をとり日本から失踪し、ヨーロッパ、戦時中はシンガポールで放浪生活をし、終戦後、一度、日本に戻ってきたが、
破壊された伝統や失われた人情に絶望し、また日本を離れていった守屋恭吾の生きざまを描いている

【帰郷の経緯】


【帰郷のあらすじ】

 戦前
 海軍主計士官をしていた守屋恭吾
 数人の同僚と、公金を不正に流用し、その穴埋めをしようと勝負事に手を出すが、かえって傷口を広げてしまう
 守屋は、自分一人で責任を負い、妻子にも行方を告げず失踪する
 十数年間、主にヨーロッパで放浪生活をし、戦争中には中国人になりすましシンガポール近辺に潜伏していた
 守屋は、賭け事に強く、ロンドンの銀行には多額の財産を蓄えていた

 あるとき、マレー半島南部のマラッカで、かつての仲間だった牛島に出会う
 そのとき牛島が連れて来た高野左衛子と一夜を共にする仲になるが、生きることに貪欲だった左衛子に
自由奔放でこの戦争で日本は負けると断言する守屋を日本軍の憲兵隊に密告され、逮捕されてしまう
 終戦により釈放され、ヨーロッパに戻ろうするが、捕虜になった日本兵の惨めな姿を見て、
急に妻子の住む日本に帰ることにし、18年ぶりに娘と再会する

【帰郷のゆかりの地】

 荒廃した日本の中で、金閣寺西芳寺京町家の町並みに残された日本の分化をみる

 <金閣寺
 マラッカで一夜を共にした高野左衛子は、そのことが忘れられず、守屋恭吾との再会を果たして、彼の娘 伴子を
京都の宿にいる守屋に会わせる段取りをする
 左衛子と伴子は一緒に京都に行き、伴子一人で、父の滞在している旅館に出かけたが、散歩に出かけたと聞かされて、
その金閣寺に出向く
 そこで伴子が4歳のときに別れた父娘は18年ぶりに再会する

 <西芳寺
 大佛次郎文学碑があり、「帰郷」の「過去の章」が刻まれている


【京都検定 第7回1級】


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