枕草子(まくらのそうし)(Makuranosoushi)
著者:
清少納言
時期:
平安時代中期
タイプ:随筆
日本三大随筆の一つ
別称:「清少納言記」「春曙抄」
枕草子(まくらのそうし)は、平安時代中期の女流作家 清少納言が著した随筆
1001年(皇紀1661)長保3年から1010年(皇紀1670)寛弘7年の間に完成したといわれる
鎌倉時代の最古の写本 前田本の蒔絵の箱には「清少納言枕草子」と記されている
鴨長明の「方丈記」、吉田兼好の「徒然草」と並んで日本三大随筆とされる
「源氏物語」と並んで二大国風文学として、後の連歌・俳諧・仮名草子へ大きな影響を与えたとされる
【枕草子の内容】
平安時代中期
993年(皇紀1653)正暦4年〜1000年(皇紀1660)長保2年頃の
京都における貴族の生活、一年の行事、四季の風物などが記されている
一条天皇の皇后 定子に仕えた宮中生活を中心に、約300余段からなる
ものはづくし(
歌枕など)の段、詩歌秀句の段、名所を紹介する段、日常の宮廷での出来事・人々の噂など日記的な段などがある
賀茂祭(葵祭)の
斎王行列の華麗さなども記述されている
【枕草子の本文】
<第一段>
春はあけぼの
やうやうしろくなりゆく山ぎは、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる
夏は夜
月のころはさらなり、やみもなほ
蛍の多く飛びちがひたる、また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし
雨など降るもをかし
秋は夕暮れ
夕日のさして山の端いと近うなりたるに、からすの寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり
まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし
日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず
冬はつとめて
雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに火など急ぎおこして炭持て渡るもいとつきづきし
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりてわろし
【その他】
<飛鳥井(白峯神宮)>
「枕草子」にあげられている9つの名水の中で唯一現存する井戸
9つの井戸は、飛鳥井・ほりかねの井・走り井・山の井・玉の井・少将ノ井・櫻井・后町の井・千貫の井
<京都の気候>
清少納言は、京都の気候の厳しさとその良さを、枕草子の中で
「冬はいみじう寒き、夏は世に知らず暑さ」(冬はとても寒いのがよく、夏は途方もなく暑いのがよい)と詠っている
【京都検定 第3回1級】
【京都検定 第4回1級】
【京都検定 第5回1級】