長谷川等伯(はせがわとうはく)(Hasegawa Touhaku)

長谷川等伯(はせがわとうはく)は、桃山時代に活躍した絵師

生年:1539年(皇紀2199)天文8年
没年:1610年(皇紀2270)慶長15年2月24日
享年:72

出身:能登国七尾(現在の石川県七尾市)
幼名:又四郎・帯刀
号:長谷川信春

長谷川派の祖

 長谷川等伯(はせがわとうはく)は、桃山時代から江戸時代初期に活躍した絵師

 当時の画壇を独占していた狩野永徳を脅かし、自ら「雪舟五代」を名乗り長谷川派の長として活躍した

【長谷川等伯の歴史・経緯】


【長谷川等伯の作風】

 現在、80点ほどの作品が確認されており、多くは重要文化財に指定されている

 最も初期の作品は26歳筆の落款のあるものがある
 当時は、日蓮宗関係の仏画や肖像画を描いている

 着色画を手がけ、当時流行していた金地極彩色手法や大画面構図方式を採り入れて、
新鮮で躍動的な金碧障壁画を作り上げた

 中国 宋風・元風の水墨画の作品も多い
 中国 南宋の牧谿の「観音猿鶴図」(国宝、大徳寺蔵)の影響を強く受けて、
精妙な自然描写の筆法を完全に習得するまで何度も繰り返し描いたといわれる

 養父 長谷川宗清が雪舟の門弟 等春に師事しており、
60歳ぐらいから「雪舟五代」と名乗り、当時、高い評価を受けていた雪舟の五代目ということを強く打ち出し、
間に祖父と父親の名を加え、画系と家系の伝統を宣言して長谷川の結束を固めた

【長谷川等伯の主な作品】

 <紙本金地著色 旧祥雲寺金碧障壁画(智積院)(国宝)>
 1591年(皇紀2251)天正19年
 豊臣秀吉が幼くして亡くなった愛児 鶴松の追善のために建立した祥雲寺の襖絵を依頼される
 とても気に入ってもらい豊臣秀吉から知行200石を授かる

 <紙本金地著色 楓図壁貼付 4面(智積院)(国宝)
 1592年(皇紀2252)文禄元年
 画才にも優れていた26歳の息子 長谷川久蔵を亡くし、息子の分まで精進しようと自分を鼓舞し描き上げた作品
 55歳で、人生無常の感から、自己の生命力を画面一杯に傾けて描かれたといわれる
 長谷川久蔵が25歳のときに描いた「桜図(国宝)」と対になっているといわれる
 桜図と同様な豪華さで、楓の古木が枝をいっばいに広げ、その下に様々な草花が描かれている
 画面中央の激しい動きの幹や枝、紅葉や秋草の写実性、抽象的な空や池、強いコントラストとパステルカラー調で
絢爛豪華に描かれる
 桃山時代の荘厳を見ることができる大和絵の大作
 災害により原型の1/4にカットされてしまっている

 <紙本墨画 松林図屏風 六曲一双(東京国立博物館)(国宝)>  1598年(皇紀2258)慶長3年
 画才にも優れていた26歳の息子 長谷川久蔵を亡くし、その悲しみを背負って描いた作品といわれる
 日本水墨画の最高傑作とも評される

 <紙本金地著色 松に草花図(智積院)(国宝)>
 1592年(皇紀2252)文禄元年

 <紙本金地著色 松に黄蜀葵図(智積院)(国宝)>
 1593年(皇紀2253)文禄元年
 豊臣秀吉が建立した祥雲寺の襖絵
 地面から伸びる黄蜀葵(とろろあおい)の花と、それを覆い被さるように迫力ある松が描かれている

 <紙本金地著色 松に梅図(智積院)(重要文化財)>

 <紙本金地著色 松雪の図(智積院)(重要文化財)>

 <紙本墨画 波濤図 12幅(永観堂)(重要文化財)>

 <紙本墨画 山水図(圓徳院)(重要文化財)>
 方丈の襖絵
 桐形紋を一面に押した唐紙の襖に、水墨で描かれた非常に珍しいもの
 大徳寺塔頭 三玄院の開山 春屋宗園に、客殿に襖絵を描くことを再々嘆願していたが許可されなかったが、
春屋宗園が留守と知り客殿に駆け上がり、一気に描き上げてしまったといわれる
 全36面の襖絵のうち、「夏の絵」「冬の絵」など32面が圓徳院に所蔵されている

 <紙本著色 仏涅槃図本法寺)(重要文化財)>
 1559年(皇紀2219)永禄2年
 息子 長谷川久蔵の七回忌に奉献したもの

 <絹本著色 日通像(本法寺)(重要文化財)>

 <絹本著色日堯像(本法寺)(重要文化財)>

 <紙本墨画妙法尼像(本法寺)(重要文化財)>

 <板絵金地着色 昌俊弁慶相騎図(北野天満宮)(重要文化財)>

 <玉甫紹琮像(高桐院)>
 高桐院の開山 玉甫紹琮の64歳の頂相

 <高士騎驢図屏風(高桐院)>
 四曲一隻の屏風

 <列仙図屏風一双(壬生寺)(重要文化財)>

 <古木猿猴図(こぼくえんこうず)(龍泉庵)(重要文化財)>
 方丈襖絵
 大徳寺龍源院牧谿の筆「猿猴図(国宝)」の影響を受けたといわれる作品

 <秋草の間(あきぐさのま)(三宝院)(重要文化財)>

 <紙本墨画 商山四皓図(しょうざんしこうず)8面(真珠庵)(重要文化財)>
 方丈東の間の襖絵

 <紙本墨画 蜆子猪頭図(けんすちょとうず)4面(真珠庵)(重要文化財)>
 方丈衣鉢の間の襖絵

 <紙本墨画猿猴竹林図(相国寺)(重要文化財)>
 六曲屏風

 <方丈障壁画32面 (天授庵)(重要文化財)>
 紙本墨画 禅機図16面(室中)
   禅の教えを表現した禅機図を長谷川等伯の独特の人物表現で描いた禅宗祖師図
 紙本墨画 画商山四皓図(しょうざんしこうず)8面(上間)
   中国秦末の騒乱を避けて、商山の山中に隠棲した4人の高士が従者を伴いロバに乗る姿を描いたもの
   大徳寺 真珠庵にも同じ画題の障壁画が描かれている
 紙本墨画 松鶴図8面(下間)

【その他】

 <お墓>
 本法寺の墓地にある

 <長谷川等伯の像>
 本法寺の本堂前に、筆を持って立っている

 <三玄院(さんげんいん)
 長谷川等伯が、小堀遠州古田織部・薮内剣仲などとともに、春屋宗園から禅を学んだといわれる


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