牧谿(もっけい)

鎌倉時代後期の、中国では南宋末期から元初期の禅僧、画僧

生没年不明

法諱:法常
号:牧谿

西湖六通寺(りくつうじ)の開山

出身:中国 四川省

 牧谿(もっけい)は、鎌倉時代後期の、中国では南宋末期から元初期の禅僧、画僧

 日本の室町時代の水墨画に大きな影響を与え、高く評価されてきた画家

【牧谿の歴史・経緯】

【牧谿の主な作品】

 賈似道など大物政治家と関係があり、当時は画家として十分評価され、江南山水画の主流に位置づけられていたといわれる

 死後、中国では次第に忘却され、元の時代には、仏教美術は相対的に低く評価され、牧谿もあまり評価されなかった

 現在、牧谿の優品はほぼすべて日本にあり、中国・台湾・欧米には伝称作を含めてほとんど存在しない

 <絹本墨画淡彩 観音猿鶴図 三幅対(国宝)
 大徳寺所蔵
 観音菩薩・鶴の三幅図
 観音菩薩には「道有」、猿鶴には「天山」という足利義満の所蔵印が押されている

 <伝牧谿 紙本墨画 煙寺晩鐘図 一幅(国宝)>
 畠山記念館蔵
 瀟湘八景図巻の断簡

 <伝牧谿 紙本墨画 漁村夕照図 一幅 (国宝)>
 根津美術館蔵
 瀟湘八景図巻の断簡「白眉」
 濃霧の中に浮かび上がる山寺が描かれている
 松永久秀織田信長徳川家康、紀州徳川家、加州前田家により伝来される

 <紙本墨画 遠浦帰帆図 一幅(重要文化財)>
 京都国立博物館所蔵
 瀟湘八景図巻の断簡
 弧を描いたような湾に、帰ってくる2隻の帆船の美しい構図

 <紙本墨画 平沙落雁図 一幅(重要文化財)>
 出光美術館蔵
 瀟湘八景図巻の断簡
 ぼんやりと浮かび上がってくるような画風
 濃霧の中を飛行する雁の群れが描かれている
 豊臣秀吉、上杉景勝、徳川秀忠、松平忠直により伝来される

 <絹本墨画淡彩 竜虎図 二幅(重要文化財)>
 大徳寺所蔵
 1269年(皇紀1929)文永6年の作

 <伝牧谿 絹本墨画 竜虎図 二幅(重要文化財)>
 大徳寺所蔵

 <伝牧谿 紙本墨画 芙蓉図 一幅(重要文化財)>
 大徳寺所蔵

 <栗図・柿図(重要文化財>
 龍光院所蔵

 <瀟湘八景図巻>
 全2巻 各4図で、それぞれの図に詩を付けられていた

 足利義満によって8幅の掛物に改装され、断簡として徳川家康や松平不昧など、時の権力者や文化人の所蔵を経て伝来した

 1728年(皇紀2388)享保13年7月
 徳川吉宗が、当時大名家に分蔵されていた八景図を一堂に集め観賞を行ったといわれる

【牧谿の評価】

 室町時代の水墨画に大きな影響を与えた

 独特な技法により描かれる見る者に湿潤な大気を実感させる水墨画が高く評価された

 <可翁>
 牧谿に影響された画家

 <能阿弥>
 「花鳥図屏風(出光美術館蔵)」では、牧谿の絵のモチーフを屏風中に散りばめている

 <雪村>
 牧谿ののモチーフの作品を残している

 <長谷川等伯
 牧谿の鶴の絵やの絵を真似ていて、「等伯画説」でも多くの項目を牧谿に充てている
 「松林図屏風」にも大きな影響が出ているといわれる


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