渡辺始興(わたなべ しこう)(Shikou Watanabe)

江戸時代中期の絵師

生年:1683年(皇紀2343)天和3年
没年:1755年(皇紀2415)宝暦5年7月29日
享年:73

通称:求馬
別称:渡辺始興(わたなべ もとおき)

琳派
号:景靄(けいあい)、環翠(かんすい)、環翠軒

出身:京都市
お墓:西王寺(近衛家の菩提寺)

 渡辺始興(わたなべ しこう)は、江戸時代中期の絵師

 写実を重視して円山応挙にも影響を与えた

 琳派に属する

【渡辺始興の歴史・経緯】

【渡辺始興】

 狩野探幽の流れの山本素軒など江戸狩野派に学んだといわれる

 その後、尾形光琳について琳派の装飾画法を習得した

 絵巻など古典の模写や花鳥の写生によって画技を習得し、写実を基礎とした装飾風の作品を描いた
 後に、渡辺始興の写生画「鳥類真写図巻」を円山応挙が模写し、円山応挙に多大な影響を与えたといわれる

【渡辺始興の代表作】

 <板絵著色 大覚寺障壁画 12面(重要文化財)
 大覚寺の正寝殿の狭屋の間(さやのま)の明かり障子の腰板に描かれた杉戸絵「野兎図」
 12面に、それぞれ様々なポーズのが描かれている
 1734年(皇紀2394)享保19年の作


 <大覚寺 障壁画116面(重要文化財)>
 大覚寺の正寝殿の障壁画116面のうち、雪之間の18面
 紙本墨画「雪景山水図」が、渡辺始興の筆

 <紙本金地着色 四季花鳥図 板戸4面>
 大覚寺 正宸殿の狭屋の間(さやのま)の板戸4面
 野鳥が岩の上に留まっていたり、牡丹の上を飛ぶ様子が描かれている

 <紙本著色 春日権現霊験記絵巻 20巻>
 陽明文庫
 近衛家熙の詞書がある
 1735年(皇紀2395)享保20年

 <絹本著色 近衛予楽院(家煕)像 1幅(重要文化財)>
 三時知恩寺
 1736年(皇紀2396)元文元年
 百拙元養の賛がある

 <紙本金地著色 興福院障壁画 8面>
 興福院(奈良)
 1743年(皇紀2403)寛保3年

 <紙本著色 十六羅漢図 1面(京都市指定登録文化財)>
 立本寺の本堂の須弥檀の背面に描かれている
 山中の丸みを帯びた岩や雲の中に、羅漢と従者、総勢21名が描かれている
 1746年(皇紀2406)延享3年
 渡辺始興が64歳のときの作品

 <板絵金地著色 曳馬図 絵馬1面(京都市指定登録文化財)>
 北野天満宮
 1750年(皇紀2410)寛延3年

 <板絵著色 鷲鷹図 絵馬2面(京都市指定登録文化財)>
 峰定寺
 1751年(皇紀2411)宝暦元年

 <紙本著色 賀茂祭絵巻 1巻>
 陽明文庫
 賀茂祭の絵巻、近衛家熙の詞書がある

 <紙本金地著色 燕子花図屏風 六曲一双>
 クリーブランド美術館

 <紙本墨画 瀟湘八景図屏風 六曲一双>
 クリーブランド美術館

 <紙本著色 鳥類真写図巻 1巻>
 三井記念美術館蔵
 円山応挙が模写をして、多大な影響を与えたといわれる

 <紙本墨画 芭蕉竹に仔犬図屏風 六曲一双>
 大和文華館蔵
 円山応挙が、仔犬や芭蕉・竹の描写を技法・図様共に極めて近く描いている


 <法蔵禅寺 襖絵>
 近衛家煕(予楽院)旧殿に、近衛家家臣 渡辺始興が描いた襖絵があった
 現在は所在不明


【京都検定 第21回2級】

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