渡辺始興(わたなべ しこう)は、江戸時代中期の絵師
写実を重視して円山応挙にも影響を与えた
琳派に属する
狩野探幽の流れの山本素軒など江戸狩野派に学んだといわれる
その後、尾形光琳について琳派の装飾画法を習得した
絵巻など古典の模写や花鳥の写生によって画技を習得し、写実を基礎とした装飾風の作品を描いた
後に、渡辺始興の写生画「鳥類真写図巻」を円山応挙が模写し、円山応挙に多大な影響を与えたといわれる
<板絵著色 大覚寺障壁画 12面(重要文化財)>
大覚寺の正寝殿の狭屋の間(さやのま)の明かり障子の腰板に描かれた杉戸絵「野兎図」
12面に、それぞれ様々なポーズの兎が描かれている
1734年(皇紀2394)享保19年の作
<大覚寺 障壁画116面(重要文化財)>
大覚寺の正寝殿の障壁画116面のうち、雪之間の18面
紙本墨画「雪景山水図」が、渡辺始興の筆
<紙本金地着色 四季花鳥図 板戸4面>
大覚寺 正宸殿の狭屋の間(さやのま)の板戸4面
野鳥が岩の上に留まっていたり、牡丹の上を飛ぶ様子が描かれている
<紙本著色 春日権現霊験記絵巻 20巻>
陽明文庫
近衛家熙の詞書がある
1735年(皇紀2395)享保20年
<絹本著色 近衛予楽院(家煕)像 1幅(重要文化財)>
三時知恩寺
1736年(皇紀2396)元文元年
百拙元養の賛がある
<紙本金地著色 興福院障壁画 8面>
興福院(奈良)
1743年(皇紀2403)寛保3年
<紙本著色 十六羅漢図 1面(京都市指定登録文化財)>
立本寺の本堂の須弥檀の背面に描かれている
山中の丸みを帯びた岩や雲の中に、羅漢と従者、総勢21名が描かれている
1746年(皇紀2406)延享3年
渡辺始興が64歳のときの作品
<板絵金地著色 曳馬図 絵馬1面(京都市指定登録文化財)>
北野天満宮
1750年(皇紀2410)寛延3年
<板絵著色 鷲鷹図 絵馬2面(京都市指定登録文化財)>
峰定寺
1751年(皇紀2411)宝暦元年
<紙本著色 賀茂祭絵巻 1巻>
陽明文庫
賀茂祭の絵巻、近衛家熙の詞書がある
<紙本金地著色 燕子花図屏風 六曲一双>
クリーブランド美術館
<紙本墨画 瀟湘八景図屏風 六曲一双>
クリーブランド美術館
<紙本著色 鳥類真写図巻 1巻>
三井記念美術館蔵
円山応挙が模写をして、多大な影響を与えたといわれる
<紙本墨画 芭蕉竹に仔犬図屏風 六曲一双>
大和文華館蔵
円山応挙が、仔犬や芭蕉・竹の描写を技法・図様共に極めて近く描いている
<法蔵禅寺 襖絵>
近衛家煕(予楽院)旧殿に、近衛家家臣 渡辺始興が描いた襖絵があった
現在は所在不明