露地(ろじ)は、世俗から、茶の湯の世界を隔離して茶室に向かう小さな庭園
京都の「下京茶湯者」と称される茶人達は、公家や武家が住む上京ではなく商工業者が密集する下京に閑居を求め、
町の中に草庵を持つことを「市中の山居(しちゅうのさんきょ)」と称され、その中で、山の中にいるかのようなう風情を楽しんだ
茶室は、四畳半以下を「小間」、以上を「広間」とされ、
小間は「草庵」、広間は「書院」とも称される
<草庵の露地>
茶室に入るまでの道に、山奥にいる趣が作り出される
実用と、茶室に入るまでの鑑賞を目的とされる
<書院の露地>
庭園の一部に茶室を設けて、その付近を露地風にしたものと、
書院の座敷の前庭に敷石や手水鉢などをおき、露地風にしたものとの二種類がある
実用性はなく、書院から庭を眺めたり、書院から庭を回遊したりする鑑賞を目的とされる
茶室に入るまでの道に、山奥にいる趣がが作り出される
植栽は、奥山の風景が用いられ、手入れをして形を整えたものは好まれなかった
<寄付(よりつき)>
茶会に招かれたお客が、服装を整えるなど準備をして露地入りの案内を待ち合せる場所
「袴付(はかまつけ)」とも称される
座敷の控えの間や、外露地に建物が設けられることがある
<延段(のべだん)>
石園路(いしえんろ)のひとつ
面の平らな割石(わりいし)、玉石(たまいし)、板石(いたいし)などを道端に敷きつめられる
露地門からは、飛石に変わる
<露地門>
日常の世界と、茶の湯の庭との結界として置かれる門
<飛石(とびいし)>
長い山道をイメージして、自然石の平石を用いて曲線状に造られ、お客を導く飛石が打たれる
飛石の一つ一つが、山里を進み峠を越える思いを表される
<下腹雪隠(したばらせっちん)>
お手洗い
<外腰掛待合(外腰掛)>
お客は、寄付で着替えて、外露地の腰掛待合で、主人の案内を待機する
<中門(ちゅうもん)>
二重露地の場合、露地門側の外露地(そとろじ)と、茶室側の内露地(うちろじ)に分かつ
この門をくぐることで、浮世の魔が払われる
屋根のないものには、揚簀戸(あげすど)、猿戸(さるど)、枝折戸(しおりど)などがある
屋根のあるものには、中潜り(なかくぐり)、梅見門(梅軒門)(ばいけんもん)、
茅門(かやもん)、竹葺門(たけぶきもん)などがある
主人がお客を迎える「迎付け(むかえつけ)」では、主人が中門まで迎え出る
<石灯籠>
露地の苑路の足下を照らす
古田織部の、竿部分にマリア像を掘り込んだ「キリシタン灯篭(織部灯篭)が著名
<蹲踞(つくばい)>
「浮世の塵」を払い手と口を清めるための手水鉢(ちょうずばち)
手水鉢を低くおかれ、つくばって手水を使う
前石、手燭石(てしょくいし)、湯桶石(ゆおけいし)など役石がおかれる
表千家では、左に手燭石、右に湯桶石がおかれ、裏千家では、その逆に配置される
近くには、鉢明かりの灯籠がおかれる
<砂雪隠(すなせっちん)>
「飾雪隠(かざりせっちん)」とも称され、実際には使用されないお手洗い
<内腰掛>
茶事の初入り(初座)と後入り(後座)の間の中立ちのときに、
待合に用いられていた縁側が取り除かれ、内露地に腰掛待合が別に設けられるようになった