「仏教」とは、3つの教えがこめられているといわれる
・仏(仏陀)の教え
・釈迦のように、自らが悟りを開いて苦悩の世界から解脱し、自ら仏に成るための教え
・悟りの世界は一切衆生(全ての生命あるもの)に平等に与えられており、多くの人々と共に悟りの世界へ進むための教え
「仏」とは、「真理に目覚めた人」の意味であり、「神」でも「預言者」でもない
釈迦は、菩提樹の下で悟りを開かれた後、45年にわたる生涯を、
教えの一つである「多くの人々と共に悟りの世界に進むこと」の真理を人々に伝える旅の途中で亡くなられた
釈迦の教えは、南は東南アジアの国々へ、北はガンダーラからヒマラヤを越えて中央アジアへと広まり、やがて中国へと伝わる
多くの弟子の僧により、膨大な量の経典が伝えられ84,000もの教えがあると言われるが、
それらは別々な悟りを得る教えではなく、全て釈迦と同じ悟りに至る方法の一つである
それら経典を全て読破し、全ての意味を正確に理解することなどはきわめて困難であり、
さまざまな宗派により「どの経典が一番重要な教えなのか」ということが最大の論点となっている
<三宝>
仏教は、以下の三宝を中心に構成されている
・仏さん
・仏の教えである法
・法の実践者である僧
<時代での区分>
概ね、原始仏教、部派仏教、大乗仏教に3つに区分される
原始仏教(初期仏教):
紀元前5世紀にインド北部ガンジス川中流域で、釈迦が提唱し創始される
釈迦が死亡(仏滅)して直ぐに、出家者の集団により、釈迦から個人個人が聞いた釈迦の言葉(仏典)を集める作業が行われた
部派仏教:
釈迦が死亡して100年頃、釈迦の説いた教えの解釈に色々の意見が生じてくる
大きく上座部と大衆部の2つに分かれる
大乗仏教:
上座部仏教では、自ら修行する出家者しか救済を得ることができないとされていたが、
紀元前後に、仏陀となり苦の中にある一切衆生(全ての生き物たち)を救済する誓いを立てる教えが起こり、急速に広まった
「日本書紀」によれば、古墳時代の552年(皇紀1212)欽明天皇13年、大乗仏教が日本に伝わったとされる
仏教の宗派としては、
奈良時代、平安時代に成立した伝統宗派
平安時代に成立した密教系
鎌倉時代に成立した禅宗系、浄土系、法華系などがある
<密教>
天台宗(てんだいしゅう) 台密 日本の宗祖:最澄
真言宗(しんごんしゅう) 東密 日本の宗祖:弘法大師空海
<禅宗>
臨済宗(りんざいしゅう) 日本の宗祖:栄西禅師 朝廷や幕府の庇護を受けて政治・文化に重んじられた
曹洞宗(そうとうしゅう) 日本の宗祖:道元 地方豪族や一般民衆に広まった禅宗
黄檗宗(おうばくしゅう) 日本の宗祖:中国 明の臨済宗の隠元隆き
普化宗(明治時代に解体された)
<浄土系>
融通念仏宗
浄土宗(じょうどしゅう) 開祖 法然房 源空 念仏を唱える努力が重視される
浄土真宗(じょうどしんしゅう) 宗祖 親鸞聖人 一向宗 阿弥陀如来への信心を重視される
時宗(じしゅう) 宗祖 一遍上人 信心よりも念仏さえ唱えれば往生できると説く
<法華系>
日蓮宗(にちれんしゅう) 宗祖:日蓮 別称「法華宗」 「妙法蓮華経」を最もすぐれた経典とする
日蓮正宗
すべての仏像は、大日如来の分身とされ、すべて大日如来に帰一し、
仏教の「教え(輪)」を説明するための手段として、3種類の姿(身)になって我々の前に出現しているといわれる
仏像は、「如来」、「菩薩」、「明王」、「天部」の4部と
日本においては、「垂迹部像」、「羅漢部像」が加わり、6種類に分けられる
<一来法師>
治承・寿永の乱(源平合戦)で活躍した平安時代末期の園城寺の僧兵
<一休宗純>
室町時代の臨済宗大徳寺派の「破戒僧」といわれる高僧
酬恩庵、大徳寺を復興に尽力する
大徳寺47世住持
<隠元隆き>
中国 明から渡来してきた臨済宗の僧
宇治に土地を与えられ、黄檗山萬福寺を創建し、日本黄檗宗の祖
<栄西禅師>
平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した僧
日本 臨済宗の開祖、建仁寺の開山
中国から茶種を伝え、喫茶の効用を説き、喫茶の習慣をもたらした
<叡尊>
鎌倉時代中期の真言律宗の僧
戒律を復興し、奈良西大寺を復興する
殺生を禁止し、慈善救済を行い、宇治橋を修築などを行った
<恵心僧都 源信>
比叡山横川の恵心院に住したことから「恵心僧都」と称される
日本の浄土教の祖と称され、法然上人や親鸞聖人に大きな影響を与えた
紫式部の「源氏物語」や、芥川龍之介の「地獄変」に登場する横川の僧都は、源信をモデルにしているといわれる
<慈覚大師 円仁>
平安時代初期の天台宗の高僧
最後の遣唐僧として唐にわたり、日本の天台宗を大成させた延暦寺の中興の祖とされる
<聖一国師 円爾弁円>
鎌倉時代中期の臨済宗の僧
摂政 九条道家に招かれて上洛して、九条道家が建立した東福寺の開山となる
花園天皇から「聖一」の、日本最初の国師号が贈られる
<義演>
安土桃山時代から江戸時代にかけての真言宗の僧
豊臣秀吉・豊臣秀頼の援助を受けて荒廃していた醍醐寺を復興させ、聖教・記録を整理・保管し、後世に伝えた
<行円上人>
行願寺(革堂)を創建し、庶民を含めて広く法華経信仰を布教を行う
日頃、牡鹿の革に千手陀羅尼を書いた衣をまとっていたため、「革聖(かわひじり)」と称された
<行教>
大安寺(奈良市)の僧で、豊前国(大分県)の宇佐八幡宮より八幡大神を勧請し石清水八幡宮を創建した
<弘法大師 空海>
平安時代初期の僧で、中国から真言密教をもたらした日本の真言宗の開祖
東寺を賜り、真言道場とし、庶民教育施設の綜芸種智院を設立した
<勢観房 源智上人>
浄土宗総本山 知恩院の開基
百萬遍知恩寺第二世
<空也上人>
平安時代中期の僧侶
浄土教の布教者で、念仏を唱えて市中や、東北地方の諸国を巡り、
庶民に念仏を広め「阿弥陀聖(あみだひじり)」や「市聖(いちのひじり)」と称された
<古渓宗陳>
大徳寺117世となり、豊臣秀吉が織田信長追善のために創建した総見院の開山となる
<伝教大師 最澄>
空海と同じ遣唐使の船で唐に渡り、天台教学などを学び、日本の天台宗を開く
延暦寺を創立し、大乗戒壇の設立に尽くした
<俊寛>
平安時代後期の真言宗の僧
後白河法皇の側近で法勝寺執行でもあった
<聖宝>
平安時代前期の真言宗の僧で、空海の法孫
笠取山(醍醐山)の山頂に庵を創建し、醍醐寺の由来となる
<浄蔵貴所>
加持祈祷に優れ、平将門の調伏、父親の蘇生、法観寺八坂の塔の傾きを法力でなおしたという故事がある
<親鸞聖人>
鎌倉時代初期の僧で、浄土真宗の宗祖とされる
法然上人を師と仰いで、「法然上人によって明らかにされた浄土往生を説く真実の教え」をさらに高め、人々に広めた
<崇伝>
安土桃山時代から江戸時代初期の臨済宗の僧
優れた学僧で、徳川家康の信任を得て、外交僧として江戸幕府の政策に関与し「黒衣の宰相」とも称された
南禅寺の270世住職となり中興の祖とされ、塔頭金地院を再建した
<奝然上人>
中国 宋から釈迦如来立像(国宝)を持ち帰り、清凉寺の建立を願った
<道昌>
平安時代初期の真言宗の僧
渡来系氏族秦氏の出身で、弘法大師空海の高弟
<日圓>
修験道の始祖 役小角(えんのおづぬ)の十世僧
国家護持のために紀州熊野大神を勧請し、熊野神社が創建される
<日像上人>
臨終間際の日蓮聖人から帝都弘通(京都の布教)、宗義天奏(天皇への布教)の遺命を受け京都での布教を行った
<日蓮>
鎌倉時代の仏教の僧で、日蓮宗(法華宗)の宗祖
<法然上人>
浄土宗では、善導を高祖とし、法然上人が開祖とされる
浄土真宗では、法然上人を七高僧の第七祖とし、元祖とされる
「南無阿弥陀仏」をただ一心に称える専修念仏を行えば、誰でも救われることを説く
<鳳林承章>
桃山時代から江戸時代初期にかけての臨済宗の禅僧
1635年(皇紀2295)寛永12年より34年間にわたる日記「隔冥記(かくめいき)」を記した
<明恵上人>
鎌倉時代前期の華厳宗の高僧
後鳥羽上皇から、華厳宗興隆のために栂尾を下賜されて、高山寺を開山する
栄西禅師から譲り受けた茶の種子を高山寺に播き、日本最初の茶畑が作られ、栂尾茶が誕生する
<無関普門>
鎌倉時代中期の臨済宗聖一派(しよういちは)の僧
東福寺の第三世住持となり、亀山上皇により南禅寺の開山に迎えられる
<夢窓疎石>
鎌倉時代末期・南北朝時代の臨済宗の禅僧
夢窓国師・正覚国師・心宗国師・普済国師・玄猷国師・仏統国師・大円国師と7度にわたり
国師号を歴代天皇から賜わり、「七朝帝師」とも称される
天龍寺や苔寺(西芳寺)などの作庭も行った
<木食養阿>
高野山に入って、五穀を断って木の実や草などを食べる木食行を修行する
狸谷山不動院の創建、真如堂の露仏 阿弥陀如来像の造立、安祥院の再建をし、
勧進により、日ノ岡峠や渋谷街道などの改修工事や、橋の架橋などを行った
<文覚上人>
平安時代から鎌倉時代初期にかけての真言宗の僧
北面武士として、鳥羽天皇の第二皇女 統子内親王(上西門院)に仕えた
<慈恵大師 良源>
平安時代中期の天台宗の高僧
第18代 天台座主で、日本天台宗中興の祖とされる
観音菩薩の化身とされ、「元三大師(がんざんだいし)」「角大師」「豆大師」「厄除け大師」などとも尊称される
<聖応大師 良忍上人>
平安時代後期の天台宗の僧侶
融通念仏宗(ゆうずうねんぶつしゅう)を開宗する
天台声明の修練道場の来迎院を再興し、各流派の声明を統一して大原魚山流(ぎょざんりゅう)を集大成した
<林浄因>
南北朝時代に中国 宋から渡来した禅僧
中国から持ち帰った饅頭(まんとう)から、日本の饅頭(まんじゅう)を考案した
<蓮如上人>
本願寺中興の祖
浄土真宗親鸞聖人の教えを、分かりやすく正確に全国に伝えた
<絵因果経>
経巻の下段に「過去現在因果経」を書写し、上段に経文の内容を説明した絵画を描いた経典
釈迦の前世における善行から、現世で悟りを開くまでの伝記を説いている