古典の日(こてんのひ)とは、11月1日の日本の古典文学を顕彰する記念日
国や地方公共団体により、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努められる
11月1日は、源氏物語が歴史上はじめて記録されたとされる日
<「古典の日」宣言>
「源氏物語」は、日本の古典であり、世界の古典である。
1000年前、山紫水明の平安の都(みやこ)に生まれたこの作品は、文学はもとより美術、工藝、またさまざまの藝能に
深い影響を及ぼし、日本院の美意識の絶えることの ない源泉となってきた。
1930年代に英訳されて以来、近年では、20余りの外国語に翻訳されて、世界各地の人々に愛読され、感銘を与えている。
この物語について、「紫式部日記」に記された日から数えて1000年。
この源氏物語千年紀を言祝(ことほ)いで、私たちは、今後11月1日を「古典の日」と呼ぼう。
古典とは何か。風土と歴史に根ざしながら、時と所をこえてひろく享受されるもの。
人間の叡智の結晶である、人間性洞察の力とその表現の美しさによって、私たちの想いを 深くし、心を豊かにしてくれるもの。
いまも私たちの魂をゆさぶり、「人間とは何か、生きるとは何か」との永遠の問いに立ち返らせてくれるもの。
それが古典である。
揺れ動く世界のうちにあるからこそ、私たちは、いま古典を学び、これをしっかりと心に抱(いだ)き、
これを私たちのよりどころとして、世界の人々とさらに深く心を通わせよう。
そのための新たな一歩を歩みだすことを、源氏物語千年紀にあたって、私たちはここに決意する。
紫のゆかり、ふたたび。
平成20年(2008年)11月1日
源氏物語千年紀よびかけ人
源氏物語千年紀委員会
<古典の日に関する法律>
(目的)
第一条 この法律は、古典が、我が国の文化において重要な位置を占め、優れた価値を有していることに鑑み、
古典の日を設けること等により、様々な場において、国民が古典に親しむことを促し、その心のよりどころとして
古典を広く根づかせ、もって心豊かな国民生活及び文化的で活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「古典」とは、文学、音楽、美術、演劇、伝統芸能、演芸、生活文化その他の文化芸術、
学術又は思想の分野における古来の文化的所産であって、我が国において創造され、又は継承され、
国民に多くの恵沢をもたらすものとして、優れた価値を有すると認められるに至ったものをいう。
(古典の日)
第三条 国民の間に広く古典についての関心と理解を深めるようにするため、古典の日を設ける。
2
古典の日は、十一月一日とする。
3
国及び地方公共団体は、古典の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。
4
国及び地方公共団体は、前項に規定するもののほか、家庭、学校、職場、地域その他の様々な場において、
国民が古典に親しむことができるよう、古典に関する学習及び古典を活用した教育の機会の整備、
古典に関する調査研究の推進及びその成果の普及その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
<「古典の日」推進基本構想>
「古典の日」宣言の趣旨に沿って、次の考え方によって事業を展開する。
一、
人は古典によってこそ生きることをあらためて自覚し、古典によって広く世界の知性と共鳴しあう新しい文化創造の運動を起こす。
一、
古典を読み、書き、聞くなど五感を使って古典に親しむ活動を、児童・生徒・学生をはじめ、男女年齢を問わず、
すべての市民に広く深く浸透させる。
一、
文学・美術・工藝・藝能など幅広く古典を知ることのよろこびを人々の心のうちに広め、やがて「古典の日」を国民共有の日として
定着することをめざす。