迎賓館(げいひんかん)とは、外国の王族、大統領、首相などの国賓が来られたときに宿泊などの接遇を行う施設
接宴として、天皇、皇族などが臨席し宮中晩餐会が行なわれることもある
日本の迎賓館は、東京赤坂の迎賓館と京都迎賓館との2ヶ所
洋風の赤坂迎賓館とは対照的な和風建築
敷地面積:約20,140m2
延床面積:約16,000m2
構造:鉄筋コンクリート造、地上1階、地下1階
設計:日建設計
南側は、会議・会談、晩餐、和風会食、管理等の公の場
北側は、賓客の居住・宿泊のための私的施設となっている
<夕映の間(ゆうばえのま)>
最大約70名までの大広間
壁面装飾を施した可動式の壁面で三分割することができる
通訳ブースがあり、国際会議にも使用できる
壁面装飾は、綴れ織により、京都の東西を守る山の日月の夕景が表現されている
東面が「比叡月映(ひえいつきばえ)」、西面が「愛宕夕照(あたごゆうばえ)」と称される
<藤の間(ふじのま)>
最大120名までの晩餐室
人間国宝 江里佐代子による截金が施された檜舞台がある
舞台扉は、「響流光韻」(こおるこういん)と称される
正面の壁面には綴れ織「麗花」(れいか)が飾られ、藤など39種類の四季の花々が描かれている
床の段通には、フジ(藤)の花びらが散りばめられている
<桐の間(きりのま)>
最大24名までの56畳の和の晩餐室
天井は、全て同一材料で作られた長さ12mの中杢天井
座卓は、長さ約12mの合板に漆黒の漆が施されている
座椅子の背には、京都迎賓館の紋である五七の桐が蒔絵で描かれている
欄間「日月」には、人間国宝 江里佐代子による截金が施されている
<滝の間(たきのま)>
桐の間の奥につながる22畳の和室
昇降式の座卓が設置されている
<水明の間(すいめいのま)>
大池に張り出した開放的な空間で、首脳会談などに用いられる
貴船の間と対となり、銀をイメージして作られている
水をテーマとしたデザインで統一されている
天井が、船底とされる
床は、青海波文様の段通
椅子のファブリック(布地)は、立涌文様の中に波紋を織り込んだ西陣織
「悠久のささやき」と題した飾り台や卓子にも、蒔絵や螺鈿が描かれている
<貴船の間(きぶねのま)>
水明の間と対となる、金をイメージして作られた貴賓室
日本側の代表者の控え室として使用される
人間国宝 江里佐代子による截金透塗飾り台がある
<聚楽の間(じゅらくのま)>
晩餐会などが行われる際に、招待されたゲストや随員の待合などに使用される
人間国宝の早川尚古斎による竹花器や伊砂利彦の型染の屏風、椅子ファブリックは西陣織、
釘隠には千代結のデザインが施されている
<日本庭園>
玄関前の「真の庭」、館内の中央「行の庭」、賓客宿泊室に面する「草の庭」の3つの庭がある
「庭屋一如」の現代和風の庭園
尼崎博正の監修、佐野藤右衛門を棟梁とする京都の庭師により作庭される
<鴻臚館>
平安時代の平安京にあった外国使節を宿泊、接遇する館
平安時代末期には、中国の唐や渤海国も滅びて鴻臚館の役割がなくなり廃館となる
その後は、寺社などで、外国使節の接遇が盛んに行われていた
<貴賓>
迎賓館で宿泊、接遇することができるのは、
外国の元首クラスの人を国賓(天皇の賓客など)として招請することを閣議決定した場合に限られる
首脳外交など実務を目的として訪日する外国の元首・首相などに対しては、
「公式実務訪問賓客」として宿泊を伴わない招宴・接遇が行える
東京サミットなどの多国間国際会議も、この接遇範疇に該当する行事として実施されている
迎賓館の使用方法:「迎賓館運営大綱について」(1974年7月9日、閣議決定)
国・公賓の定義や接遇内容:「国賓及び公賓の接遇について」(1984年3月16日、閣議決定)